中央大学理工学部 助教 今井 洋(元英国リーズ大学)、大阪大学大学院理学研究科 教授 昆 隆英、理化学研究所研究員 島 知弘(現東京大学大学院理学系研究科 助教)らの研究グループは、英国国立リーズ大学スタン=バージェス博士、ピーター=ナイト教授と共同で、細胞内で多種多様な物質輸送を行うタンパク質モーター「ダイニン」が駆動しているところを、低温電子顕微鏡法により直接観察することに成功しました。
本研究をもとに、様々な疾患に関連したダイニンの変異体の可視化が実現すれば、将来、神経疾患や成長異常の原因の解明や治療などへの展開が期待されます。また、癌の原因の解明や治療への利用も期待されます。
本研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(日本時間平成27年9月14日(月)付)に掲載されました。

細胞内に存在しているダイニンと本研究のために遺伝子組み換え技術により作成したダイニンの模式図。 ダイニンは、1本の長いポリペプチドからできていて、3次元構造は主に3つの部位から構成されている。(1)細胞内の化学的なエネルギーであるATPを加水分解する直径約13nmのリング、(2)そこから伸びる長さ約10nmで太さが2nmの細長いストークと呼ばれる構造(その先端は微小管結合部位)、そして、(3)2つのリングをつなぎ合わせる尾部の3つの構造から成る。モーター領域は、尾部を除く、リングとストークの部位である。
昆 隆英 (コン タカヒデ)
大阪大学大学院理学研究科 教授(生物科学専攻)
TEL /FAX: 06-6850-5435
E-mail: takahide.kon@bio.sci.osaka-u.ac.jp
今井 洋 (イマイ ヒロシ)
中央大学理工学部 助教(生命科学科)
TEL: 03-3817-7188 FAX:03-3817-7102
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